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根管治療をしっかり行うことが、全身疾患の予防につながる可能性があります

皆さま、こんにちは。
暦の上では春を迎えましたが、依然として厳しい寒さが続いております。
室温や加湿を心がけ、体調を崩されませんようご自愛ください。

さて、皆さんは「歯・口腔内の疾患」と聞いて、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
虫歯や歯周病を放置すると歯を抜かなければならなくなる、舌がんでは手術が必要になるなど、「お口の中だけの問題」と考えられる方が多いかもしれません。
しかし近年の研究により、歯周病をはじめとする口腔内の疾患が、全身の健康と密接に関わっていることが次々と明らかになっています。
今回はその中でも、「根管治療を適切に行うことが、歯だけでなく全身の健康にも寄与している可能性がある」というお話をさせていただきます。

根尖性歯周炎とは?

虫歯が進行し、歯髄と呼ばれる神経や血管のある部分まで感染が及び、さらに根の先に炎症が広がった状態を「根尖性歯周炎」といいます。
この状態になると「噛むと痛い」「違和感がある」といった症状が出ることがあります。
この痛みを改善し歯を残すためには、歯の中の感染した神経や血管、組織を取り除き、内部を洗浄・消毒する治療が必要になります。これが「根管治療」です。

ここまでの話では、根尖性歯周炎は口腔内だけの問題のように思われるかもしれません。
しかし、歯や歯の周囲の血管は全身とつながっており、細菌が血流中に侵入すると、稀ではありますが敗血症など重篤な病気へつながることもあります。
そのため根管治療は、歯を保存するためだけでなく、全身への影響を抑えるという側面も持っていると考えられています。

根管治療と全身状態の関係を調べた研究

イギリスの研究チームより、根管治療と全身状態との関係性に関する興味深い論文が昨年報告されました。
この研究では、根尖性歯周炎の患者さんの血液を治療前から治療完了後2年目まで採取し分析しました。
その結果、糖尿病・高血圧・心血管代謝疾患の発症に関連があるBCAAとよばれるアミノ酸が根管治療後徐々に減少し、血糖値も治療2年後に有意に低下。
メタボリックシンドロームや動脈硬化、急性心筋梗塞のリスク低下と関連するとされるトリプトファンは、治療後に増加し、2年後には約2倍まで上昇。
さらに、コレステロール、コリン、脂肪酸といった脂質関連物質は治療後3か月の時点で減少がみられました。
心機能異常や感染性心内膜炎に関与する細菌であるマイコバクテリウム量の変化がこれら脂質と相関していることも確認されました。
これらの変化は、根管治療後に全身の代謝状態が改善方向に動き、生活習慣病や心臓疾患のリスクが軽減される可能性があるということを示唆しています。

さらに研究チームは、動的ベイジアンモデリングという解析手法が用いて、根管治療と代謝改善のメカニズムを調べたところ、エネルギー代謝の中心であるTCAサイクル(クエン酸回路)と密接に関連する代謝物が大きく関与していることが明らかになりました。
TCAサイクルは炎症の持続によって障害され、エネルギー産生や免疫調節、骨代謝にも影響を及ぼすことが知られています。
根管治療によって炎症が改善することでTCAサイクルの機能が回復し、その結果として代謝の改善につながっている可能性が考えられます。

まとめ

根管治療は単に歯の痛みを取る治療ではなく、全身の代謝や健康状態にも良い影響を与える可能性がある治療です。
歯の痛みや不調が決して「お口の中だけの問題」で終わるものではない可能性を示しています。口腔内の健康を整えることが、全身の健康を守ることにつながるかもしれません。
お口の中で気になる症状がある方は、些細なことでも構いませんので、どうぞお気軽にご相談ください。

歯科医師 冨秋智博

参考文献
・勝海一郎・興地隆史・石井信之・中田和彦 編著 歯内治療学 第5版 医歯薬出版2018
・Zhang Y, Le Guennec A, Pussinen P, Proctor G, Niazi SA. Successful endodontic treatment improves glucose and lipid metabolism: a longitudinal metabolomic study. J Transl Med. 2025;23(1):1195.

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