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アーカイブ: 1月 2022

歯周病と喫煙の関係性

皆さまこんにちは。
今年は東京でも積雪があり、例年よりも寒い日が続いていますが体調などを崩されていないでしょうか?
空気もとても乾燥をしていますが、空気が澄んでいるこの時期は、雪化粧をした富士山が都内からでもとても綺麗に見えて心が和みます。
コロナはまだまだ続き落ち着かない日々ですが、お風邪を引かれてませんようお気をつけてお過ごしください。

本日は歯周病と喫煙の関係性について、少しお話しさせていただこうと思います。
現在歯周病は 30 歳以上の成人の約 80%がかかっていると言われています。
さらに驚くことに、人類史上最も感染者数の多い感染症として 2001 年にギネス記録に登録されており、20年経った現在もその記録は破られていません。

歯周病って?

名前は聞いたことがあるけれど、実際どんな病気なのかあまりご存じない方も多いのではないでしょうか?
はじめに、簡単ではありますが歯周病について説明したいと思います。
歯周病は歯周組織に生じる炎症性疾患の総称です。
歯周組織とは歯の周りの歯ぐき(歯肉)や歯を支える骨(歯槽骨)などのことを指します。
歯周病になると、歯肉の辺縁が炎症を引き起こし赤くなったり腫れたりします。
さらに進行すると、膿がでたり歯槽骨が吸収していき歯が動揺してきて、最終的には歯を抜かなければならなくなってしまいます。

歯周病の原因

歯周病の原因はひとつではなく、細菌因子・宿主因子・環境因子がそれぞれ影響しあって発症する多因子性疾患とされています。

①細菌因子

お口の中には 700 種以上の細菌がいます。
このうち歯周病の発症・進行に関与するとされる細菌を歯周病原菌細菌とよびます。
歯ブラシが充分でなかったりすると、この細菌たちが粘着性の物質を作り出し、歯の表面にくっつきます。
これがいわゆる歯垢(プラーク)です。
これは、とても粘着性が強いのでうがいをした程度では落ちません。
また、特定の歯周病原細菌がもつ酵素は歯周組織を直接的に破壊するといわれています。

②宿主因子

宿主とは細菌に寄生されるもの、すなわち患者さんご自身の身体のことです。
これには、お口の中のことが原因とされる局所的因子と年齢、性別、体質、全身疾患が原因となる全身的因子があります。

③環境因子

歯周病は生活習慣病の1つとされ、歯周病の発症・進行には、喫煙、ストレス、食生活(栄養状態)などが影響を与えます。

歯周病と喫煙

環境因子の中では喫煙は歯周病の発症や進行に影響を与える最大のリスクファクターであるとされています。
喫煙は、全身の臓器に大きな影響を及ぼし、がんや心臓血管疾患、慢性閉塞性肺疾患など歯周病だけでなく、多くの生活習慣病の重要なリスクファクターとなり
ます。
タバコの中には、数千もの化学物質が含まれていて、そのうちニコチン、タール、一酸化炭素の最大有害物質をはじめ 200 種類以上の有害物質が含まれており、60 種類以上の物質に発癌性があります。
喫煙者は口臭、ヤニによる着色だけでなく、歯周病にかかりやすく、重症化しやすいので、治療しても治りにくいことがわかっています。

喫煙がお口に与える影響

喫煙により有害物質にさらされる最初の臓器はお口の中です。
ニコチンは、皮膚や粘膜に素早く吸収され、血管収縮を引き起こし、血流の減少が起こる結果、歯肉は酸素が少ない状態になり、歯周ポケット内に歯周病原細菌が生活しやすい環境になってしまいます。
さらに、ニコチンは体の免疫機能も狂わせるため、喫煙をしない人と比べて喫煙者は歯周病の治療をしても治りにくくなってしまいます。

喫煙者のお口の中の特徴として、着色、歯肉の黒色化(メラニン沈着)、口臭、歯肉が硬くなる、味覚低下が代表的なものとしてあげられます。
しかし、喫煙者では歯肉の腫れや出血などの炎症兆候が見た目以上に抑えられ、歯周病の初期症状を患者さんご自身が気づかず、加えて非喫煙者と比べて進行が速いため、重症の歯周病になって初めて気づくケースも少なくありません。
また、歯周病だけでなくインプラント治療や口腔がんにおいても大きなリスクファクターとなることがわかっています。

禁煙の効果

現在、歯周病のみならず全身疾患への対策として禁煙の必要性がうたわれています。
実際、国によって、喫煙に関する目標値も定められています。(健康日本 21)
禁煙することで、歯周組織は本来の免疫機能を取り戻し、歯肉は本来の健康的な状態になります。
そしてなにより、お口の中の健康だけでなく、全身の健康にとっても大きな病気にかかるリスクを減らすことができます。
禁煙をすることは簡単なことではありませんが、専門家による禁煙サポートや周囲の人の力を借りてぜひ禁煙にチャレンジしてみてください。

参考文献
臨床歯周病学 第3版
https://www.jacp.net/perio/about/

歯科医師 西村仁希

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